古い町並みを歩くための20のガイドです
1 何度も同じところ訪ねたりもしました
全国数百カ所以上の古い町並みを歩きました
 全国数百カ所以上の古い町並みを歩きました。なかには、角館、酒田、知覧など2回、3回と歩いたところもあります。函館は数え切れないくらい訪ねました。でも一度も歩いたことのない町並みもたくさんあります。10年以上も前に訪ねたところは、もう一度訪れました。萩や津和野、弘前、長崎、神戸などがそれで、まだまだあります。なお何回も訪ねたところの写真は、もっとも最近撮った写真を使用しました。
2 詳しい歴史的な事柄は他のサイトやパンフレットで
歩きながら感じたこと,思ったことを書きました
 このホームページ(HP)では、私の歩いた古い町並みを中心に紹介します。歴史的な事柄は、他のサイトや観光パンフレットなどをご覧ください。ここでは私の感じたこと、現場で起こったことなどを語りたいと思います。
3 古い町並みを歩くと、心が落ち着きます
日本の古い町並みは1000カ所以上あると言われていますが…
 古い家、歴史的な家屋は、全国各地にあります。しかし町並みとなると、少なくなるのも事実です。それでもいま全国に古い町並みがそこここにあります。そのなかで文化庁が選定した重要伝統的建造物群保存地区(通称、伝建地区)は80カ所以上あり,年々増えています。さらに都道府県、市町村が指定した古い町並みは、数え切れないくらいあるのです。知り合いの写真家は,全国に大小合わせると,1000カ所を越える古い町並みがあるといいます。
4 保存には地域住民の熱意が支えです
「現代の便利な生活を我慢して,古い家を守りなさい」とまでは言えません…
 すべての町並みを歩いたわけではありませんが、保存に熱心な地域、荒れるまま(?)になっている地域など、それぞれに理由があります。保存に熱心な地域は、古い町並自体に住む人たちの協力があります。しかし、そうでない地域は、過疎化とそれにともなう資金不足が大きな原因です。さらに、保存か開発かの二派に分かれて意見がまとまらないこともあります。住民の意見がまとまれば、行政も動きやすくなります。
 白壁や土塀は昔のままで、塀の中は現代の家屋にするという折衷案もあります。私は、それでも十分だと思います。そこに人が住んでいる限り、現代にあった便利な生活を我慢しなさい、とは言えません。もし昔ながらの家屋を残すなら、それなりの資金援助が必要です。住んでいる人の犠牲の上で成り立っていては申し訳ないのです。
5 歴史の残り香が感じられます
太い格子,細い格子や土蔵の窓にも地域の特徴が出ています
 各地の町並みを歩いていて、おもしろいのは建物が地域に根ざしていることに気がついたことです。細い格子や太い格子、土蔵の窓ひとつ一つに歴史が感じられます。建物だけではありません。軒先にぶら下がっている飾り物をとっても、地域で全く違うのです。民俗学の立場から見れば、実におもしろいでしょう。しかし私には、詳しい知識はありません。それでも何やら都会には見られないドキッとするものが感じられます。
 漁師町も歩きました。山奥の鉱山町にも行きました。それぞれにかつての繁栄ぶりが偲ばれます。それは、京都や奈良、鎌倉といった大都市とは違う「かすかな歴史の匂う」町だからです。歴史の残り香といえば失礼でしょうか、このままほおっておいては消えゆくのみ、最後の香りを放っているとしか見えません。
6 古い町並みはどこにあるの?
北前船の寄港地を訪ねたこともありました
 ところで、古い町並みってどこにあるのでしょうか。いちばん最初に思い浮かぶのが、文化庁が選定する重要伝統的建造物群保存地区(通称、伝建地区)です。全国に80カ所以上あります。それ以外に各種ガイドブックが発売されています。また地域の観光地図やパンフレットがあります。観光地図にはガイドブックに載っていないところを見つけることもできます。山の中から海辺、街道沿い、離島といたるとこにあるのです。私の場合、日本海側の北前船の寄港地を訪ねたこともありました。意外に古い町並みが残されていたりします。
7 観光課などからもらうパンフレットをチェック
地方の行政単位で,町並み保存地域を定めていることもあります
 たとえば高岡市(富山県)の観光地図には、山町筋や金屋町に見事な町並みがあることが記載されています。しかし子細に眺めていると、港のほうに2カ所ほど、古い町並みがあることが明記されています。実際に電車で行きましたが、意外によかったりするものです。市町村が指定する保存地区は、これはもう行き当たりばったりです。しかし、鹿児島県入来町のように、後日、重要伝統的建造物群保存地区に選定されることがあったのです。最近,有楽町駅前(東京都)に,ふるさと情報プラザ(財団法人地域活性化センター03-3238-0855)ができました。ここでは全国各地の市町村別の観光パンフレットがもらえます。ぜひ利用するといいでしょう。
8 観光課や社会教育課、郷土資料館に聞くといいです
都道府県単位の「町並み100選」などホームページで探すことができます
 問い合わせるなら、役所の観光課や観光協会がいちばんいいでしょう。しかしそれでも重要伝統的建造物群保存地区に限られます。観光地図にも載っていないところもたくさんあります。こんなときは、教育委員会の社会教育課がベストです。観光課は意外にしらないことがあります。古い町並み自体、観光の対象になると思っていないことが多いからです。あとはホームページがありますが、とおりいっぺんのことしか出ていません。意外によかったのが、郷土博物館や資料館です。村内のかやぶき屋根の民家が何軒あるかまで判明します。
 これら観光地図は、東京や大阪などには都道府県の出先機関があって、無料で観光地図がもらえます。いちど問い合わせてみてください。また神奈川県や大阪府のように町並み100選を選定して,ホームページで公開しています。そのなかから古い町並みだけを選んで訪ねるといいと思います。
9 交通はどうするの?
タクシー代は余計な出費です!
 基本はクルマ、路線バス、飛行機、鉄道、レンタカーなどあらゆる交通機手段をフルに使います。タクシーは、よほどのことがない限り使いません。交通費を極力節約するためです。バス停で1時間以上待ったこともありました。そのためにあらかっじめ文庫本を1冊用意しました。いずれにせよ、古い町並みは、交通機関の不十分なところに残っていることが多いのです。
1人でも使えるツアー。ANAなら『旅作』,JALは『旅プラス』が激安で使い勝手がよかった
 実は,最近では飛行機を使うことが多くなりました。というのは格安のツアーで目的地まで行けることを発見したからです。
 ANA(全日空)の場合は『旅作』という商品です。先日秋田県と山形県に行きました。行きは羽田→能代大館,帰りは翌日,庄内→羽田,宿泊は酒田東急イン,秋田県は日本レンタカーを借りました。全部で3万2600円(ガソリン代別)でした。航空機利用なので,午前中から目いっぱい動けました。
 JAL(日航)の場合は,『旅プラス』という商品です。これまた先日長崎を往復しました。羽田−長崎の往復,宿泊はJALシティ長崎(ツインルームでした),空港で使える1000円分の商品券が付いて,全部で2万9800円です。かなりの激安でした。
 いずれも,自分の日程に合わせて旅の行程が作れることです。しかもインターネットだけで住むので,楽ちんです。航空券(eチケット)などの必要書類は,宅配便やメールで送られてきます。ただ日程の変更がきかず雨でも強行しなくてはいけない点はつらいです。それでも1人でも利用できるツアーは,利用価値が高いと思いました。
10 現地では路線バスを最優先で利用します
路線バスの時刻表はネットで検索します
 まず調べるのは、飛行場からの交通機関です。リムジンバスを使うのは当然ですが、事前にインターネットで、路線バスの時刻表を調べます。路線バスと鉄道をじょうずに組み合わせてください。意外に路線バスの時刻は正確で役立ちます。この組み合わせを考えるのが実に楽しいのです。もっとも私はバス好き、ということもありますが。それと地方の路線バスはガラガラで、気持ちがいいのです。そのため車窓からの風景も親しみをもって見ることができます。また,大都市でなおかつ鉄道路線が少ない京都市のような場合は、パソコンソフトの「駅すぱあと」を使って、あらかじめ市営バスの乗り換えの停留所を調べておきました。パソコンソフトの「駅すぱあと」はとても便利で,路線バスや100円バス,最近ではフェリーも収録されています。
11 100円バスもじょうずに使うといいですね
どんどん増える地方自治体の100円バス
 路線バスが赤字で廃止になり、地元の行政が独自に100円バスを運行していることがとても多いのです。福祉の一環として運行しているようですが、観光客ももちろん乗れます。米子空港では、到着ロビー前まで乗り入れていました。萩や酒田では観光地も回っています。最近では,東京でもあちこちの自治体が運行しています。上野や浅草を抱える東京都台東区でも100円バスを運行しています。ただ目的地まで時間がかかることを覚悟してください。
12 レンタカーはカーナビ付きが便利です。ETCカードがあればちょっと得します
目的地を効率よく探しだし,最短距離(または最短時間)で移動できます
 路線バスを使っていたのでは、1泊2日で回りきれないことがあります。また沖縄県北部のように、路線バスの運行がなかったりする場合もあります。そんな時はレンタカーの利用となります。トヨタレンタカーの会員でもありますが、何よりすべてのクルマにカーナビやETCが装着されているのがありがたいのです。実際、どれほど役だったかその効果ははかりしれません。現地で地図を広げながら目的地を探す手間も省け、実に合理的に動くことが出来ました。もちろん自分のクルマにもカーナビは欠かせません。それとETCのカードを持っていると,高速道路を走るたびにポイントがたまり,後でいくらかが換算されてきます。最近のレンタカーのほとんどがETC付きです。
13 自家用車の利用が便利ですが……。駐車場探しのポイント
地方都市の駐車場は,銀行や郵便局が便利です
 いちばん便利です。しかしガソリン代が高い、有料道路料金がバカにならないなどたいへん金がかかります。現地での駐車場探しにも苦労します。田舎ならどこにでも停められます。小都市なら意外に郵便局や地方銀行がいいです。土日は閉店されていますが、駐車場はATM利用者のために開放されています。コンビニの駐車場は、国道やバイパスに偏っており、古い町並み近くにはほとんど見かけません。ただ重要伝統的建造物群保存地区なら、観光客用の駐車場が充実しています。ドライブ好きは別としても,都会に住んでいる人が,自家用車で出かけるのは,時間と金がかかるのみでいい点は何もありません。飛行機や鉄道で,一気に現地に入り,そこでレンタカーを利用した方が時間の無駄がありません。
14 タクシーは使いませんでした
駅から徒歩30〜40分(約2〜3km)程度なら,迷うことなく歩きます
 タクシーを使ったのは数えるほどです。路線バスの時刻表を予め調べておきますので、タクシーを使う必要がないのです。ただ、帰りの飛行機の出発時間に間に合わないとか、体調不良などは、この限りではありません。駅から徒歩30〜40分程度なら歩きます。そのため靴は、ウオーキングシューズを履いています。とにかく無駄な金は使わないことです。
15 宿泊サイトで携帯電話の「当日予約」を利用 
夕方からの携帯サイト「当日予約」は格安で泊まれます
 宿泊はいろいろです。基本的にはビジネスホテルを利用します。何時に着くかわからないのでホテルが気楽に利用できます。インターネットの宿泊サイトをよく利用しました。夕方、携帯電話から「当日予約」で予約すれば、かなり安く泊まれます。いまは楽天トラベル(旧旅の宿)の携帯サイトをよく利用しています。
16 「腹減った〜、死にそうだ〜」 空腹対策を!
過疎の町には食堂はもちろん雑貨店すらありません
 実は古い町並みを回っていて、予想外のことが何度も起こったのです。早い話が、食堂やコンビニがないのです。考えてみれば当たり前の話ですが、本当に食べるものがなく、気を失いそうになったことが何度かありました。とくに電車やバスを乗り継いで行った場合は悲惨です。駅と行っても無人駅が多いし、古い町並みは過疎地域がほとんどです。「立ち食いそばでもあるだろう」なんて、甘い考えは捨ててください。
 大きな駅に着いたら、おにぎりを買うなど空腹対策をまず考えてください。乗り換え駅でも、何も売っていないことがありますから。クルマで回る人は、ドライブインやコンビニがあるうちに買い込んでおくといいでしょうが、それほど心配はありません。
17 カメラはフィルムからデジタルに替えました
デジカメだからこそ,気にすることなくふんだんに撮れるのです
 撮影機材のことをお話しします。当初はフィルム一眼レフカメラ(ミノルタα-507)で撮り続けていました。フィルムはフジクロームが多かったです。途中、ネガカラーでも撮りましたが、現像所によって色が大きく変わったり、実際の色と違ったりと、ガッカリしてすぐのリバーサルフィルムの戻しました。その後、デジタル一眼レフ(ニコンD80)に変えました。デジタルカメラの利便性の高さは、何ものにも代え難いものがあります。レンズはシグマ18〜200ミリF3.5〜6.3の1本で撮っています。ただもう少しワイド側に伸びればなあと思います。
 このホームページでUPしている写真は1〜2点ですが,実際はかなりの数を撮っています。これもデジタルカメラだからこそです。
ウオーキングシューズだけは金をかけていいものを使用しています
 スキャナーはキヤノン8000Fを使っています。ソフト関係は、フォトショップエレメンツ5.0ですが、この取説は最低、最悪です。だから使い方が未だによくわかりません。その点、ホームページビルダーの取説は、わかりやすく丁寧です。
 靴はアシックスのウオーキングシューズです。この靴がとても気に入っています。多少のでこぼこ道(荒れた石畳)でも足に負担を感じません。とにかくいいシューズを選ぶのが先決です。足が命です。
18 困ったゾ 「平成の大合併」で市町村名が変わった……
住所がどんどん変わる
 このホームページを立ち上げるのに困ったことは、市町村の名前が大きく変更されたことです。そうです「平成の大合併」です。出来る限り、所在地に関しては最新の市町村名を使うようにしましたが、一部そのままのところがあるかもしれません。そのときはお知らせください。
19 実際に町並みを壊すのは地元の人たちと商工会です
●道路を拡幅し,駅前にビルを建てて地域が活性化した例は皆無です
 最近の市町村は,町おこしなど地域の活性化に,古い町並み保全を言い出したところが多くなりました。もともと,古民家や町並み,地域の遺産などを先頭に立って壊してきたのは,地元の住民たちです。そして,さらにその先頭に立ってきたのが地元の商工会です。金儲けのためなら,小汚い家など壊してしまえ,というわけです。無理やり道路を拡幅し,駅前に第三セクターによるコンクリートのビルを建てるのです。しかし地方再生という名目で成功したという話しは聞いたことがありません。必ず1〜2年で失敗します。しかし,そのときはもう遅いのです。町並みをめちゃくちゃにしてしまっては,もうどうしょうもありません。道路を拡幅したら,目の前を通過するクルマが増えただけ,という笑うに笑えない話しがゴロゴロしています。

町並み保存は,外部の人たちの目が必要です
 なぜ地元の人たちは,自らの町を壊すのでしょうか。それは住み慣れている,あるいは見慣れているがために,価値の高さがわからないのです。だからこそ,第3者である外部の人たちの目が必要なのです。「これは価値のあるものですよ」と指摘することで修理,保存へ動き出します。古いものにこそ価値があり,それを目当てに人が集まってくると思えば,自分の町に対する見方が変わります。

建築や土木など理系の人たちだけでは必ず行き詰まります。郷土史家も参加すべきです
 やっと一部の住民や商工会では,歴史的な町並みを保存することのほうが,多くの人たちを引きつけることが,徐々にですが理解されるようになりました。それは古い町並みだけではなく,祭りやB級グルメもそうです。それらは道路の拡幅や駅前にビルを建てるという(建築や土木の世界)ことではないのです。実際に地方で成功した事例が,どんどん報告されてきます。もちろん2年や3年で効果がでるとは限りません。効果がでるまで時間がかかります。いずれにせよ町の区画整理事業に,文系(デザイナーや郷土史家)の人たちもどんどんアイデアを出すべきです。
20 ★印についての評価を付けました
「感動度」と「もう一度いきたい度」を自分なりに評価しました
 「感動度」と「もう一度行きたい度」を各町並みに評価を加えました。感動度は一瞬に受ける感動、歩きながら見 るじっくりと受ける感動など、自分なりに評価をしました。
 「もう一度行きたい度」は、時間がなくて中途半端な感じで帰ってしまったことや人々の親切やうまい名物があったり、もう一度行って確かめたいことなど、さまざまな原因で、もう一度行きたいと思った点で★印を付けました。これらの評価は、私自身の考えでつけたもので、責任は私が負うものです。
私、大西脩平のこと/薬品の業界紙での雑用からはじまり、住宅、スポーツ、旅行から、カメラ関係の雑誌、ムックの編集にフリーで携わっています。古い町並み以外のテーマでも、けっこう歩いています。一時期,駅弁の連載記事を書いたこともありました。今回の★印は、ひとつの目安になれば、と思います。
 現在,地域活性学会,NPO法人全国町並み保存連盟,(財)日本ナショナルトラストの各会員

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